なっちゃんとPerfumeのライブへ 前編 (35)

なっちゃんとPerfumeのライブへ 前編

昨年の今日はなっちゃんとPerfumeのライブに参戦していた。ちゃんと言うと、なっちゃんの高校の時からの友達のえっちゃんと僕の三人でライブを見る事になった。

僕はこうやって記憶をする、覚えておくのが得意な性質らしい。今日が11月20日で昨年が2018年11月20日なわけで、Perfumeとこじつけるなら18をイヤー11良い20フォーかな。アーティストの曲を覚えるのは苦手である。人には得意と苦手とある。

なぜ三人になったかというと、僕がチケットは三枚が一番当たると言い張ったからであった。

なっちゃんはPerfumeのファンクラブに入っていて先行抽選を受けたがハズレてしまった。それで、二人でCDを二枚買っていたので、購入者特典の抽選を受けようとなった。なっちゃんは二枚で申し込んでハズレだった、僕は三枚で申し込んで当たったのだ。

でも、なっちゃんは嬉しそうではなかった。それには理由があって、僕が以前からライブとかフェスの直前で「行けそうにない」と言って、なっちゃんだけ行く事になってしまっていた。だからチケットが当たっても、ちっとも嬉しそうでなかった。

どういう訳か、「パニック障害の発作が出るのではないか?」と不安になっていた。でも、今回は大丈夫だと思っていた。それはこれまで書いてきた通り、成功体験を繰り返してきたからだ。

その昔だが、僕は大好きな海外アーティストが東京の小さなハコでやるってときに、東京に行ってオールスタンディングの最前列で見たりした。この時もパニック障害はあったので、安定剤も飲んだりというよりやはり「パニック障害」などどうでも良かったのだ。このアーティストクラスで最前列なんて、なかなか無いから単に「一番前で見たいんだ」それだけで新幹線も小さなハコも大丈夫だった。

そんなものだと言っては、良くないかもしれないが、パニック障害で苦しんだ人が言うのだから、少しは良しとさせてもらう。だって本当なのだもの。

やっぱり、没頭とかは本当に大事にすると良いと思う。パニック障害の克服にはかなり有効だとしっかりここに書いておくことにする。

なっちゃんには「ダンスミュージックとか、EDMとか、絶対に心が落ち着かない音楽が大丈夫って不思議だよね」と言われていたが理由は一つで好きだから大丈夫なのである。

少し前置きが長くなってしまった。当日、僕は日本ガイシホールに自動車で向かった。なっちゃんは仕事を済ませてから現地集合で、えっちゃんはお休みだったので自在にという事だった。

僕は、思っていたより早くガイシホールへ着いてしまった。理由はなっちゃんも知らないだろうけど、座席が当日入場時に初めて分かるというシステムだったので、万が一だが「アリーナの最前列」だったらどうしようかなとワクワクしていた。人には恥ずかしくてこんなことは言ったりしない。

そんなことあるわけがないのは知ってる。でもその未知の感じが、僕を早く出発させて、早く到着させたのである。いわゆる一つのロマン。

三人のグループラインに「着きました」と送ったら、しばらくして、えっちゃんから「私も、もう少ししたら着きます」と通知が鳴った。この時に思った事は「なっちゃんが居ないのにどうやって間を持たすのだ?」という事だった

グッズ販売が始まったので、向かった。人がだんだんと増えていくのが分かった、列が出来てきた。でもそれはパニック障害に関しての大した問題でなかった。それはつまり、休日のIKEAでとれだけ人の列がヤバかったかと比べると・・・比ではなかったのである。僕だって、少しぐらい慣れと耐性はつけていますから。

「着きました」と通知が入った。でもなっちゃんの既読はつかない。僕はすぐにえっちゃんを見つけた。スマホを見ながらキョロキョロしていた。ただ、すぐに「こんにちは」なんて声を掛ける事は出来なかった。ナンパみたいだし、本人でなかったら困るかなと思ったが動きでどう考えてもえっちゃんだった。

少し心を落ち着けようと、ホットドリンクを買った。いや、早く声を掛けておけよ!今日と全く同じように「天気は良かった、風が強かった、寒かった」であった。

いよいよ目が合ったので頭を下げて「なっちゃん(ちゃんと本名で言いましたよ)の彼ですがえっちゃんですか?」と尋ねると「そうです!今日はよろしくお願いします」と愛想よく返事をしてくれた。

次へ続く