なっちゃんとPerfumeのライブへ 中編 (36)

なっちゃんとPerfumeのライブへ 中編

えっちゃんと少し話した後にツアーグッズを買いますかねといった流れになった。でも、それで時間が潰せる訳ではなかった。

「温かい飲み物でも買いましょう」と言ったのを覚えている。お互い自販機でホットドリンクを買った。それを飲んでみると少し温まったが、風が強くて寒さをしのげなかった。

えっちゃんも寒そうにしていたので「僕は車で来たのですが、なっちゃんが来るまで車内で寒さをしのぎますか?」と言うと「いいですか?」とすぐに言ったので、やっぱり寒かったのだと思う。

僕は、ガソリンスタンドのバイトを経験したことがあるので、冬の風との戦いは少し慣れているけど、寒かった。えっちゃんと車に向かう間に「何を話したらいいのかな?」と思った。僕たちは、7才という年齢の壁があるのだから。

話をしていくうちに、えっちゃんは彼氏が海外出張中という事を教えてくれた。「なかなか難しいね」なんて、ありきたりな事を言った。あと、言語聴覚士だという事も教えてくれたのだが、どんな仕事か分からなかったので聞いてみると、丁寧に説明してくれた。ちなみに言語聴覚士だということは、なっちゃんから聞いていたが、知らない事にしていた。間が持たないのだから。

それで、僕もいろいろと話をしたが、後日なっちゃんに怒られた。緊張して話が走っていたんだろう。でも二つだけ言い訳をしたい。車に乗ると思っていなかったし、なっちゃんがずっと来ていないからだ。広島から来た、ゆうちゃんの時とは話が違うんだ。それと、えっちゃんが元カノと同じ名前だという事も、少し緊張する原因だったかも知れない。

二人ともなっちゃん待ちであったけれど、えっちゃんは困った感じは出さず、本当に助かった。人と話してて、パニック障害の不安を感じた事は一度もない。

日が沈む頃に、僕とえっちゃんは、なっちゃんが間に合うのかどうかの話になっていた。全てがうまくいけば間に合うぐらいだった。ヤドン風のなっちゃんがそんな事を出来るとは思っていなかった。でも、なっちゃんの事を僕は褒めていたと思う、えっちゃんはしっかりしている印象だった。

なっちゃんからラインがきてえっちゃんが反応した。「今仕事が終わりました」的な。

「いやー困ったな」と思ったのを思い出した。僕は自分のチケットは自分で持っていたが、なっちゃんが二人分のチケットを持っていた。だから、僕とえっちゃんは、やっぱりなっちゃんを待つしかなかったのである。僕が2枚持っていたのなら・・・いや、それでも待ってたかな。

なっちゃんより地下鉄に乗ると連絡が来たので、僕たちも車から出て入口に向かう事にした。

人がいっぱいだった。やっぱり日本ガイシホールなだけあるなと思った。それで、「二人とも先にお手洗いに行っておこう!」という事になったタイミングで、僕は安定剤を飲んだ。パニック障害は大丈夫そうだと思ったが、やはり人混みとライブ会場である事を考えれば懸命な判断だったと思う。それに、なっちゃんも安心するのだから。

いよいよ、入り口で「もうしばらくしますと、一時入場をお待ちいただきます」とアナウンスが始まった。僕は「待つしかないもんね」と言ったのを覚えている。鳥目なので暗い所ではメガネをしないとよく見えなかったが、えっちゃんが「なっちゃんだ!」と言ったのを聞いてびっくりした。何がって、なっちゃんがめちゃくちゃ速く走っていたのだ。嘘だろと思った。

「ごめん、お待たせー」と勢いよく来たなっちゃんに、数分前に買った天然水を渡した。

そして3人揃って入場です。でも、アリーナ最前列ではなかった。2階席後方だった。それでもしっかり楽しめるのがPerfumeのライブであった。「 Perfume 7th Tour 2018 FUTURE POP」はタイトに進めていったのでビックリした。かなりポカーンと見ていたのを、なっちゃんに見られていた。

「FAKE IT」が始まるとなっちゃんに腕を押された。たぶん、もっと乗れよ!的な意味だったと思う。でも僕はPerfumeが本当に人間なのか分からなかった。恐らく人間であるが、動きはロボットみたいなんだ。みんな知ってるって。そうだよね。

退場される方もぽつりといた。恐らく頭痛か吐き気だと思う。あれだけ激しい演出だと分からなくもない。そんな時に思うんだな、僕は音楽が好きで良かったなと。それはパニック障害の恐れが無いとは言わないが、どんなものか知っているというのは大切な事だと思う。その時にもふと思ったのは、新幹線もグリーン車なら大丈夫なんじゃないか?であった。

しっかりパフュームのライブを3人とも堪能できた。

次へ続く