なっちゃんと完結 その4 レジリエンス (49)

なっちゃんと完結 その4 レジリエンス

なっちゃんと完結してから変わっていった事がある。そう、レジリエンスである。明らかに変わった。つまり、強く逆境を乗り越えようとしているのを自分でも他人からもしっかり感じられている。

何がという訳でなく、自分自身のレジリエンスがしっかりしたという事である。

これは、本当ならばなっちゃんと付き合っている時に補強すべきものだったかも知れないが、そうも上手くはいかないだろう。自分一人だからこそ強くなったと思った方が良い。

付き合っていた時に、なっちゃんが「絶対に逃げちゃダメだよ」と言った事がある。いまそれと向き合っているんだ。コロナウイルスの影響をもろに受けて、仕事が全くと言っていいほどに止まってしまった。これは零細企業にとってはキツイものである。

主治医に話をした。それは困ったとか弱ったとかではない。眠れない訳でもない、パニック障害で困ってもない。

「僕には、レジリエンスが備わってきている事に日々気が付いていて、昔より粘り強くなっている」と言ってみたら、先生は「あなたの人生は中学生の時から平たんではなかったですね。でもそれもなんとかなってきた」と言った後に「そうですね、レジリエンスだ」と呟いた。

「僕は、中学生の時からパニック障害で、いつも不安だった。だけど、だから今はみんながパニックになっているのを見て、そんなに焦る事はないよ、しっかり食べて、しっかり寝て、しっかり笑えば大丈夫って思っているんです。僕の不安との戦いは長かったし、苦しかったのだから。」続けて「つまりレジリエンスなんです」と言うと、先生はニコッとしながら「よくここまでレジリエンスを高めた」と言った。

僕は、満足したのと嬉しいという気持ちにもなった。パニック障害の苦しみが活かされたわけだ。

さて、最近は仕事が無いのでアルバイトもしている。なかなか楽しくやれている。なっちゃんの父親が来店していたので、頭を下げたが気付いたかどうかは分からない。

あと、仕事の支払いが困ったので弁護士に相談に行った。一人目の弁護士は頼りなかったので、二人目の弁護士に相談することにした。そこでも「あまり自信がない」と正直に言ってきた。

昔の僕なら、ここで困ってしまっている。

でも違うんだ、三人目の弁護士は街一番の弁護士に相談した。僕の考えている事と80%が一致した。その弁護士に「よく考えたね」と言われた。

そりゃそうさ、何も考えないでやっている訳じゃないよ。これもまたレジリエンスを高めた結果だと思う。クヨクヨなんかしてられないんだ。

なっちゃんの、「絶対に逃げちゃダメだよ!」は今でも僕の心の中でリフレインとなって残っている。言われたときにドキッとしたのをよく覚えている。なっちゃんの素直さと正直さに学んだ事である。「目をしっかり見て!」と言ってから言われた事であった。

僕に対して不安であったのだろう。「大丈夫だよ」とその時に言えたのなら・・・振り返らないでおこう。

コロナウイルスで不安な人は、運動したり、日記を書いたり、本を読んだり対策はいくらでもある。不安には集中しちゃダメだ。何一つ良い事はない。人に助けを求めるのも良い。ニュースは見ない方が良い。

大震災の時に、僕はテレビを見なかった。ショッキングなニュースばかりで怖いに決まってた。避ける技術は大切です。