なっちゃんと完結 その日の事 (50)

なっちゃんと完結 その日の事

その日の事を書くまでに、随分と時間がかかってしまった。やっぱり思い出すのは辛い事だった。

完結の日は2月14日だった。忘れられないバレンタインデーになるのだろうか。なっちゃんを迎えに行って、二人でコメダ珈琲へ行く事になった。なっちゃんはしっかりした様子で、絶対に話をつけるといった感じで、気持ちが他に向いていたようにも思えたりした。

なっちゃんは、僕が少し痩せた事を言ってきたりしたが本当に痩せていたのであまり言い返したり出来なかった。コーヒーとハンバーガーを注文すると、なっちゃんは別れについて話をしてきた。「もうこれで最後」ってことを僕に分からせるために、真剣に話を進めていた。

それは、なっちゃんらしくなくって別の人みたいだった。つまり愛が無いってことだったんだ。

なっちゃんが話している事は理解したつもりだったけれど、少しつっかえた感じがあって予定の時間にお店を出たのだけれど、なっちゃんの家に着いてからも家の前で話を続けてもらった。と言うよりも僕の話を聞いてもらったの方が正しいかも知れない。

途中から僕は泣きそうになっていたけれど我慢していた。なっちゃんの説得は完璧なもので、もうどうしようもないなと。我慢していたけれど、無理になってしまって泣き出したのだけれどもどうにも治まらなくなってしまっていた。

なっちゃんにお願いして玄関に入れさせてもらった。34歳になってこんなに人前で泣くなんて思ってもなかったけれど、とにかく悲しくて、全てが崩れていくようで、喉が焼けそうなぐらい泣いた。

泣きながら「信じなければ良かった」と言ってしまったのは、大切な一番信じていた人が居なくなってしまうと思ったからだろう。本当に心の底から信じていた自分に動揺したり、目の前にいるなっちゃんがそうでなくなると思ったら怖かった。

玄関で泣いていると、どんどん泣けてきて立っていられなくなり、しゃがみこんだ。「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も言っていたら、なっちゃんは困っていた。

少し時間が経ったのと、なっちゃんが気を休めてくれて泣き止んだ。立ち上がって、なっちゃんと少し話をして、なっちゃんを抱きしめた。「ありがとう」って言いながら、壊れそうなぐらい抱きしめた。これで終わりだ。完結なんだって。