なっちゃんとのプチ旅行 前編 (12)

なっちゃんとのプチ旅行 前編

春になってから、なっちゃんと少し旅っぽい事しようという話になり、近くにある遊園地みたいなのに行こうと決まった。なっちゃん的には、パニック障害の克服レッスンを兼ねているものだと思う。

この時期は僕が、株式会社設立の計画中で大嫌いな打ち合わせを重ねていたので、ちょうど良いタイミングだった。

なっちゃんは、人混み大丈夫かな?と思っていたと思うが、僕は「大丈夫」と馬鹿の一つ覚えで言うのでなっちゃんは本当に心配しているのである。男ってやっぱり強がるもんだと思うんだ

僕は「走って逃げれる所なら問題ない」とか言うのだ。本当はなっちゃんは、ディズニーランドとかUSJに行きたったのだ、でも無理だと思っていたので、遊園地みたいなので提案してくれたのである。

僕は絶叫マシンには乗れない、レーシングカートで100キロ近い速度で走ると体感は200キロをはるかに超えているが、それは大丈夫でも絶叫マシンは無理だと決めている。

1日目はまず海の見える喫茶店に行った。僕はホットドックとコーヒーを注文した、なっちゃんはオムライスとカフェラテを注文した。昔からある定番のそれがでてきたので、見ただけで美味しいと分かったが、食べてみるとやっぱりどちらも期待通りの本当に安定感のある、その味は美味しいの一言だった。凛としたその感じも良かった。

次に僕からのお願いで、ボートレース場に行かせてもらった。エンジンから出る音と匂いが好きなんだ、あとレースという競りも見ていて楽しい。

【ここで少しブレイクタイム】ボートレース場って人混みなんです、自分で言うのもなんだけどずいぶん都合良くできている心だと思ってしまう。パニック障害の発作が出るに十分な環境であるのだけれど・・・。「ちゃんとはぐれないように僕についてきなよ」とか、普段言わないことまで言っている。ただ少し言い訳をすると「エレベーターは乗りたくないから階段で良い?」とか聞いてた。 【ここでブレイクタイム終了】

レースを見ているところを後ろから写真に撮ってくれていた、気付いてなかった。目が真剣そのものでびっくりした。なっちゃんに「本当にレース好きなんだね」って言われたけれど恥ずかしくて「賭け事だからじゃないかな」なんて言った。僕は賭け事には勝った。なっちゃんは選手の顔面偏差値で買い1500円負けていた。

夜は海鮮丼を食べに行く!と決めたのは僕だ。ただ、僕はそれほど海鮮が好きではなくて、なっちゃんが喜ぶと思ってそこに決めていた。僕がとてもチープなものを選んだので「どういう事?無理して海鮮丼て言ったの?」となっちゃんは少し怒っていたので、今日勝ったから好きなもの食べたら良いよと言ってみたのだけれど「二人で美味しいって言って食べれるものでよかったのに」と言った。(そう言ってくれた。が正しい)

帰りにホテルに着く前に、デザート買って帰ろうかと言ったら笑顔が戻ったので安心した。

ホテルに着いてから「明日行く遊園地みたいなところで怖くなっても、逃げずに私に怖いって言うんだよ、平日だから混んでないと思うけど、分かった!?」と言われ素直に「はーい」と言ったのをよく覚えている。

僕は心の中で明日の朝食付きのプランなんだから、時間ギリギリにならないように絶対に寝起き良く起きろよ、と思っていたが口には出せなかった。

なっちゃんはこんなにしっかりしているのに朝が弱く、遅刻の天才であるのだ。しかし許されるのだからそれは天性の才能なのだろう。

次回、遊園地みたいなところで僕は何を感じるのかについてです