なっちゃんとのプチ旅行 後編 (13)

なっちゃんとのプチ旅行 後編

翌朝になって、なっちゃんを起こしたけれどやっぱりなかなか起きない。いつもの事だから仕方ないのだ、何度か起こしては寝てしまうの繰り返し。茶番ではない。そうそう、これがなっちゃんだからと思いながら紅茶を入れたりしていた。

時間も時間になったので、抱っこみたいにしてなっちゃんを座らせて頭をなでたりしているとだんだん起きてきた。「紅茶をどうぞ」と持っていくとすっと目を覚まして「ありがとう」と飲み始めて一言「あー幸せ」と言ってくれた、僕も同じ気持ちだった。

初めて見る素敵な花柄のワンピースに着替えていた、惚れ直してしまった。すっぴんだけどそんなのは関係ない。

朝食は一番景色の良く見える席が空いていたのでそこに案内してもらった。和と洋と選べたが、二人とも洋にした。トマトジュースから良かった。二人ともニコニコしながらのんびりと食事をした。美味しかった。

美味しかった以外の表現はないのかとここ数日考えたのだけれども、僕にできる表現は今はこれが精一杯だ、残念だとはこれっぽっちも思わない。この今書いている話は2017年3月の実話で、思い出しながら書いている。これ以上のことを求める方が無理だ。パニック障害って案外諦めを重ねると楽になるもんだ。昔の僕なら安定剤を飲んでいなければもっとリアルに書けたかもなんて愚かな事を考えていた。そんなのじゃあ良くはならない。

チェックアウトをして、いざ遊園地みたいなところへ向かった。なっちゃんは一眼レフカメラを持ってきていた、ディズニーではないけれど楽しみにしてくれていたんだ!と思うことにした。

僕がけっこうビビっていたのだろうか、なっちゃんは「駐車場も空いてるから大丈夫だから」と言ってくれた。場内に入ると本当に空いていたから、「これなら大丈夫」とスキップして笑顔で言ってみた。なっちゃんも笑顔というか、純粋に笑っていた。

そのうちに僕はルンルンしながら「このBGMみたいなの良いね、ワクワクさせる効果ある。テンポというか、なんか明るくなれるから好きだな」って言ったら「これディズニーだと300倍楽しいから」となっちゃんはアピールしてきた。「ディズニーは中学生の時に船には乗った」と言ったら「今でもあるよ、でもいきなりディズニーは厳しいだろうな」ととも言った。

「景色が良くて、天気も良くて最高だ」と言ってみるとなっちゃんは「この遊園地みたいなところで乗り物も乗らずに本気で楽しいと思えてるんだね、良かった」と笑顔で言ってくれた。本音だったと思う、二人とも

ちょっと隠れてキスをした、やはり愛を感じた

退園前に「次いつにする?」と聞いたら「そんなに楽しいの?」と聞き返されたので「悪い事?」と言ってしまった。少し困ったなっちゃんは「もっと楽しいところ連れてってあげるから、行けそうなところ調べてみよう」と手を打った。こういったところがなっちゃんの支えというかフォローならではなのである

なっちゃんは手ごたえがあったようで次の場所を考えてくれるようになった。

このようにパニック障害の克服は少しづつでも出来るとか、行けるとかを繰り返すと、「あれ?大丈夫なんだ」と思える時が必ずくる。100%とは言えないが99%は絶対と言い切ってもいいと思う。