なっちゃんとセントレアで飛行機の見える部屋 後編 (40)

なっちゃんとセントレアで飛行機の見える部屋 後編

二日目の朝を迎えた。

この日は良い事と悪い事があった。だから、書くまでに時間と日にちが掛かった。掛かったと言うより必要であった。その悪い事は出来れば思い出したくない、隠しておきたい事であるが、書いた方が気が晴れるだろうと思って書くしかない。たぶんそうなんだ、きっと。

この日は準備がスムーズだった。でも、なっちゃんは下着を買わないといけない問題を抱えていた。よく考えると、それだからスムーズに進んだのかもかも知れない。

二人で色々と作戦を考えたのを覚えているが、詳細を書く必要が無いので書かない。

窓からは、晴れた空に次々と飛行機が離陸していくのが見えた。とても気持ちが良く、すがすがしい感じがして、二人で「おー」とか言いながら見たりした。僕はたくさんの写真を撮ったりした。飛行機が見える部屋は斬新だった。

なっちゃんは支度の最終チェックをしていた。ネックレスの準備をしていたので、後ろから僕が手を添えた。鏡越しに、なっちゃんの目は「可愛い?そう言って」という目をしていた。「似合ってる、今日も可愛いよ」と言った。

チェックアウトをしてからロビーで少しゆっくりした。オープンから2か月の新棟だったので、部屋もだがロビーの感じも良かった。無料でコーヒーを飲む事が出来た。

シートが飛行機のファーストクラスみたいな感じに思えた。たぶん、コンセプトはそうだと思うが、僕は飛行機に乗ったことが無いので分からない。動画とかで見た事はある。でも、そこにエコノミークラスのシートがあったとしても、僕は喜んだことだろう。

それから、スカイデッキに向かう前に、荷物を車に積みに行った。その時に「FLIGHT OF DREAMS」 (フライト・オブ・ドリームズ)の入り口もよく分かった。

飛行機をスカイデッキから見た後に「FLIGHT OF DREAMS 」に向かう事にした。やっぱり晴れた日の飛行機はよく見えてエンジンの音もなんだか良いので満足した。

そして、いよいよ 「FLIGHT OF DREAMS」 (フライト・オブ・ドリームズ) へ入場した。

まず、びっくりしたのは本当に本物の飛行機が目の前に現れたのだ。「思ったより大きい?」とかなっちゃんに聞いたりしていたのだけれど、僕はたぶん小学生みたいな子供になっていたと思う。なっちゃんが、たくさんの写真を撮ってくれたのを覚えている。

まず二人で展示されている飛行機を見ながら昼食を食べる事にした。月曜日だったからか、人はそんなに多くなかったので、食事と飛行機を堪能した。

そこは2階だったので、1回に降りて飛行機に接近した。

有料だったと思う、コックピットに行けるというのを体験した。僕はパイロットになりたいとか思ったことは無いので、それに興味は無かった。飛行機がどんなものかを見たかったのだが座席の部分は見えなくされていた。

僕は肩を落とした。なっちゃんに「まーまー」と諭されたが、納得できなかった。よく考えれば「飛行機に乗れば良いだけだ」という考えになるのだが、パニック障害の僕からしたら、気休めとして認知というか体験が欲しかった。

あとチームラボの仕事ぶりにはいつも驚かされる。Perfumeのライブも素晴らしいが、それとはまた違って美しさとワクワクを掻き立ててくる。

僕は地上からたくさん飛行機の細部をこの目で確認した。あと写真にも収めた。その姿はなっちゃんが写真に撮ってくれていた。大体の僕は、上を見上げている。飛行機の胴体と感動の対面だ。やっぱりレーシングカートをやっていたのでか、エンジンで動くものには興味があるようだと思った。飛行機のタイヤはブリヂストンであることを書いておく。「ミシュランじゃないね」とか指差し確認して独り言をぼそっとこぼした。

飛行機の部品というか、使われていた機体から取り外した窓とか、パーツを売っているお店もある。見ているだけで面白かったが、お金を払ってまで欲しいとは思わなかった。

「FLIGHT OF DREAMS」 (フライト・オブ・ドリームズ) には一回行ってみると良いと思います。

気が済むまで楽しませてもらった。その次に向かったのは僕の病院だった。

なっちゃんが途中から運転を交代してくれた。なぜだかなっちゃんは有料道路に乗って少し遠回りをしたりしていたのでビビった。なっちゃんはお金が発生している事なんか気が付いていない。ETCってすごいよ。

診察中はなっちゃんは車の中で寝ていた。診察が終わってから、なっちゃんが高速道路を運転してくれる事になっていた。

僕はなっちゃんの前で薬を飲んだ、「これで大丈夫」と言い聞かせるように。

「15分ぐらいで効くからちょっと待ってね」と言った。ただ、薬が効くというよりも問題の方が大きかった。なっちゃんが高速道路に向かう途中に「心配しなくても、死ぬときは一緒だから大丈夫」と笑いながら言った、その一言が事故を予感させた。

変な汗をかきだしたので、「もう少し時間をちょうだい」と言って雑貨屋さんに入った。しかし、もう僕は焦っていた。このまま高速道路に乗れば間違いなくパニック障害の発作が出ると分かっていた。パニック障害は突然にして死の恐怖が襲ってくることがある。もうその網にかかってしまうとダメなのだ。

そして、それは次第になっちゃんの機嫌をさらに悪くさせた。帰り道というよりなっちゃんは、僕の病院に付き合う事が「時間的にも体力的にもロスだ」という事で機嫌を損ねていた。

車に二人で乗ってみたけれど「まだ待って」と言うと「私は電車で帰る、もう嫌だ!」と言って帰ってしまった。

こんな日が来るとは思っていなかった。

なっちゃんからラインで「車内でケンカになると事故の原因になるから一人で帰って」と送られてきた。

僕は安定剤が効いているので、少し眠たかった。でも法定速度で車を進めていった。無事に帰宅もしたが、夕飯は食べられなかった。

僕の考察です。パニック障害というより、なっちゃんの高速道路の運転が怖かったのか?と考えたのだけれど、僕の答えは、てんかんという持病のあるなっちゃんが疲れた状態で運転をする事と、事故の連想をさせる言葉が出たことが怖かった。それとなっちゃんが機嫌が悪くなっているのが僕は怖い。

なっちゃんのてんかんという病気からきているのか、気分というか気持ち(怒り)がファーっとピークに達する時がある。恐らくそれみたいなのが処理しきれない状態が、てんかんの発作に繋がったりする悪い刺激になるのではないかと思う。僕は、医師ではないので仕組みは分からない。でもパニック障害も似た部分を持っていると思うのだ。

グーっと一気に不安な気持ちがてっぺんに達して、爆発したようにパニック発作が出る感じ少し似ていると思うんだ。

なっちゃんの性格が問題ではなく、てんかんの症状としての一部でないかと、この後にしばらく考えたのを覚えている。

限定プランでお得にご利用♪宿泊予約なら【一休.com】