なっちゃんの病院で名古屋へ 前編 (29)

なっちゃんの病院で名古屋へ 前編

なっちゃんはてんかんという持病があって、投薬治療を受けていた。それで年に1回ぐらいは脳波を検査を受けていた。主治医が名古屋の先生なのである。

その検査が朝早くからだったので、なっちゃんに前泊しようと言ってみると「いいね!そうしよう!」と決まった。

前泊には理由があって、雪が降る季節だったのである。やっぱり雪予報が出たので、数日前に僕は車のタイヤをスタッドレスタイヤに交換した。モータースのおじさんが「このタイヤなら今シーズンは使えるから、自分で交換しなよ」とタダで貰ったのである。僕はガソリンスタンドでのバイト経験があったので、タイヤの交換は自分でできる。

交換が終わって、試運転を兼ねてお菓子を買って持っていくと「大雪なら車は乗るなよ」と言われた。なっちゃんを乗せるという事を知った上での、男としてのアドバイスだったと思う。

当日は予想通り、名古屋に近づくにつれて雪が舞っていた。先に出発していた僕は、嬉しい気持ちと少しの不安とがあった。

なっちゃんは会社の仕事が終わってから、電車と地下鉄で病院に近い駅で待ち合わせをすることにしていた。二人とも不思議な気持ちだったと思う。僕たちは家が近くて、待ち合わせなんて事は無かったからだ。

僕は待ち合わせの時間までに、一人でIKEAに行ったりココイチに行ったりしていた。とりあえずIKEAでは一人で行動するトレーニングみたいな感じの事をしていた、僕なりに。

外で雪が舞っていたので、なっちゃんに写真を見せようと真剣に撮ったが、あまりうまく写らなかったので、ちょっとガッカリした気持になったのを覚えている。舞う雪を撮るのは難しい。

日が沈み、なっちゃんから「今から名古屋に行くよ!」と連絡が来たので僕は「もう名古屋にいるから待ってるね」なんて言った。ソワソワしたわけではないが、胸が躍っていたのは本当の事であった。

しばらくして、「今から地下鉄に乗るよ」と連絡が来たので僕は地下鉄の駅の近くに車を停めて、地下鉄の駅に向かった。何も迷うことなくホームを目指して、階段を下りて行くうちに「あれ?パニック障害がの不安がこない」と不思議に思った。

京都でも地下鉄は大丈夫だったけれど「ホームまでは大丈夫かな?」とか思いながら進んでいったが大丈夫だった。人も居るし大丈夫だって思った。いつもの逃げ道作戦とかも必要なかった。

なっちゃんを待って次の列車かな?と思っても違い、次も違い・・・これが地下鉄だ!でもこの時間に僕が感じた事は「好きな人を待っているのなら駅のホームは苦痛でもなく、僕も乗れたらいいな」という気持ちだった。短い待ち時間だったけど僕は駅をしっかり見て回って、乗るイメージなんかもしてみたけどパニック発作の前兆は来なかったので「思い込み一つ」かも知れないとその時に思った。一人ぼっちなのにそう思わない良い時間だった。なっちゃんが地下鉄から降りてくるのだからと思い、不安を感じなかったのだろうか?多分そうだろう。

それで、いよいよなっちゃんが地下鉄から降りてきた。普段見ないスーツ姿だったのでびっくりした、「お疲れさま」と言うと「お待たせ!ホーム大丈夫だったの?外で待っててくれてたら寒いだろうなって思ってたから、ホームで良かった嬉しい」と笑顔で言った。

マンネリ化したカップルに、いつもと違うシチュエーションと格好はオススメである。だいぶ違う感じがする。

ひとまず車に向かって、ホテルにチェックインして車を停めることにした。前日になっちゃんのお泊りの荷物を車に積んだりしていたので、それを部屋に置いてから食事をすることにした。

一休のダイヤモンド会員の特典でレイトチェックアウトの案内を受けたのだが、明日は早いのだ!日経新聞をお願いした。タイミングとは皮肉なものであってほしい時に無くて、無くていい時にあるものだ。

部屋に入ってすぐに、なっちゃんにキスをした。愛おしく感じたて抑えきれなかった。なっちゃんは恥ずかしそうに「ちょっとどうしたの?まだ早いよ」と言われた。僕は制服とかに興味はないのだけれど、なっちゃんのスーツ姿には入れ込んでいた。

外に出て二人で油そばを夕食にした、美味しかった。それから、なっちゃんが明日病院でタオルが要るんだけど忘れた・・・と言ったのでスーパーみたいなところでタオルを買った、ジュースとじゃがりこも

部屋に戻って、明日の出発予定を確認してからお風呂に入った。いつものように、なっちゃんの背中に塗る薬をしっかり塗って。すっと二人ともトップギアへ、いつもより情熱的に

二人とは関係なく、雪は心配しなくて良かった

次へ続く

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