なっちゃんと誕生日 (14)

なっちゃんと誕生日

季節は春、二人の誕生月は同じなので「プレゼントは何が良い?」なんて話になる。なっちゃんも僕もカバンが欲しいという事で決まった。僕はリュックを希望した。なっちゃんは仕事用のカバンが欲しいと言っていた、なっちゃんの仕事用のカバンはいつもパンパンだった。

外国のブランド品だとけっこうな金額だったので、なっちゃんは躊躇していた。僕は輸入ができるので「海外から入れるよ」と見てていくうちに「これが良い!」と決まった。僕は高校時代から輸入をやっていたので難しい事ではなかった。イギリスから輸入することになって速やかに手続きを済ませた。確か、日本未発売品だった。違う色はあったけどなっちゃんの欲しいと言った色は日本にはなかった、ヨーロッパらしい色だった。

まず僕の誕生日になっちゃんがプレゼントと手紙を渡してくれた、なっちゃんがお休みを取ってくれていたのでオシャレをした なっちゃんの実家でリュックを開封して身に着けた「かっこいい?」「ねえ?」「どう?」なんて幼稚園児のように聞いてみると「かっこいいよ!気に入ってくれた?」と少し不安を挟んで言った、なっちゃんは自分の選んだものを本当に気に入ってくれるのか?という心配があったようだった。「なっちゃんが選んだものに悪いものなんて無いし、どれであっても喜ぶよ。特になっちゃんがしっかり選んでくれたこのリュックは格別だね!」なんて言った。手紙も嬉しかった。このちょっとした気持ちのドレッシングがなっちゃんなのである。鈍臭い&繊細というギャップにいつも魅了された。

何回も写真を撮ってと頼み10枚ぐらい撮ってもらった、小学生よりも幼稚である。これからの仕事にもプライベートにも使える「カッコイイ」リュックである。僕はこのリュックになっちゃんとの大切な思い出を入れてある、物も心も。あと二人の3日分の薬も入れてある。

安心感を背負いながら僕はリュックを使っている、なっちゃんが背中を押してくれているような気がする。俯いて歩いたりしない、前を見て歩いている。パニック障害でお悩みの方にオススメできるのだけれど、これで大丈夫と思えるものを身に着けておくと良い。ヘタな安定剤よりよっぽど効く

この時点で自分の設立する会社の名前は決まってなかったが、この時の気持ちや感じた事が会社名に影響した。

次になっちゃんの誕生日だ、夕食に行った帰りにプレゼントを渡した。この日も可愛らしい格好をしていた。どうやら僕がワンピースが好きだからなっちゃんは着てくれていたのかも知れないと思ったりした。とっても喜んでくれていたので僕は写真を10枚ぐらい撮っていた。喜んでる笑顔が素敵で、プレゼントが全然写っていない。

この頃のなっちゃんは仕事の悩みを抱えていた。手紙の中にも書かれていたがグチが多かった、僕は人の話を聞くのは嫌いだがなっちゃんのグチは聞く事が出来た。いや、イヤというほど聞いたがそんなに嫌にはならなかった。

これが愛とまとめるのでなく、僕の事をこんなにいつも思ってくれる人には大きな心を持たなくてはと思ったのかも知れない。二人で支えあっていた