なっちゃんの友達が広島より 前編 (33)

なっちゃんの友達が広島より 前編

なっちゃんの大学時代の友達が、広島県から僕たちの所へ遊びに来る事になったのだ。一番の理由は「オードリー」であった。友達は大親友でゆうちゃんとしておく。

僕もなっちゃんもゆうちゃんも、お笑いの「オードリー」のオールナイトニッポンのリスナーだった。だから、僕はなっちゃんとすぐに打ち解けたのもあったりした、好きなことが同じだという事はとても良い。

それで、ゆうちゃんの話も度々聞いていたので、会ってみたかった。僕たちの関係が、今一つまとまりきらないタイミングの時に、「オードリー」のお笑いライブが愛知県の一宮市で開催されるという事が発表されていたので、三人でチケットの抽選に応募していたが落選しかなかった。

最後に一般発売が残っていたが、望みなど無いに等しかったはずだ。僕とゆうちゃんはその日が休みだったのでその日に賭けることにした。

その日に僕は電波時計と電話3台を用意して一般発売に挑んだ。チケットを取るのは慣れていたので、その独特のタイミングには自信があった。すぐに電話が繋がって「3枚お願いします」と言うと「お一人様2枚までです」と言われ「2枚で」と伝えた。

この時に、もう僕が行くのではなく、なっちゃんが大学時代からの大親友と二人で笑いながら「オードリー」を見るのが一番良い時間になるだろうと思い「二人で行きなよ」と言って僕が退いた。ちなみにゆうちゃんは、チケットセンターに電話が全く繋がらなかったのに、すごいと言っていた。

ゆうちゃんには「なっちゃんと二人で行ってあげて」とラインを送っておいた。それでその二人が話し合いを行って女子二人が「オードリー」を見に行くことに決まった。

それで、僕はゲストを迎えるにふさわしいホテルと部屋の予約を取った。全部払うと二人とも「え?」となると思ったので、半分払っておいた。残りの半分は二人で当日払ってねといったふうに決まった。

そのライブの翌日は僕となっちゃんがおもてなしをして三人で過ごそうという事になった。

ライブ当日になった。なっちゃんは切符を買い間違えてずいぶん高くついたと、やはり「らしさ」が思いっきりよく出ていた。あと、二人とも泣けるほどよく笑ったとのことだった。正直羨ましかった、だけど「即完売のチケットをよく取った俺」と思って良しという事にした。

二人は夜にホテルに着いてゆっくりガールズトークでもしたのだろう。部屋の写真が送られてきた。自分で言うのもなんだが、良い部屋だった。

翌日になって3人でお昼を食べる時間になった。僕もなっちゃんもお気に入りの野菜などが美味しいお店に行く事になった。まず車に乗ると二人がカバンを開けて、Tシャツやトートバックなど「ツアーグッズをどうぞ!」とプレゼントしてくれた。めちゃくちゃ嬉しかった。だって僕一人だけ行けなかったけれど、行けたような気持になれたのだから嬉しいさそりゃ。二人はタオルなど自分用に買ったのを見せてくれた。

あとホテルも良い部屋ありがとうございましたと言ってもらえて、良かったと思った。この時点で3人とも幸せな気持ちであることは間違いなかった。初めて会ったのだけれど、そんな感じはしなかった。なっちゃんからよく話を聞いていたからであろう。

お昼を和やかに食べた後に、なっちゃんが「ジェラートを食べたい」と言い出したので、そのお店に向かった。そう僕となっちゃんはおもてなしをする役目なのだから当然だ。

車内での話題は、ゆうちゃんが2週間前に元カレに「ヨリ」を戻したいと東京に伝えに行ったら「1か月考えさせて」と言われて返答待ちであるとのことで、不思議な空気になっていた。悪い空気ではないみんなが真剣な空気。

その元カレの事はなっちゃんから聞いていたので、知っていたのだけれど、複雑な事情があったのでどんな気持ちなのだろうとかは全く分からなかった。でも、今思えば元カレの気持ちは決まっていたのかも知れないと思ったりする。

この日は初めて会う人がいたけれどパニック障害の不安は全くなかった。なっちゃんが、ゆうちゃんに僕がパニック障害があることを伝えてあったのもあるかも知れないが、ゆうちゃんは保健師でとてもおっとりとした性格の人だった。

僕は全く緊張など感じることなく話したり、笑ったり話を聞いたりして食事も運転する事も出来た。なっちゃんも特に気にすることなくいつもの感じで、3人がまるで昔からの友達かのように感じられた。

そして次は僕となっちゃんがお気に入りのクラシックの珈琲店へ向かった

次へ続く