なっちゃんとの二年目の夏 後編 (9)

なっちゃんとの二年目の夏 後編 (9)

なっちゃんは食事も楽しみそうにしていたが、「貸切露天風呂もどんなのかなー」とルンルンしていた。

夕食の時間になったので、その怖いエレベーターに乗ってフロアへ向かった。やっぱり慣れても怖い。フロアにはやや人が多くいた。それと部屋食しか知らなかったので、これからどんな感じなのだろうと分からなかった。皆さんではないが騒がしい人達もいた。僕は嫌いな空気だった。これは安定剤を飲むべきだと思い飲んだ。「なっちゃんには飲んだから大丈夫だからね」と伝えた

なっちゃんも酔っ払いのうるさいのが嫌いなので僕の感じた事は何も言わないでも理解してくれた、嬉しかった。

お酒は飲めないのでなっちゃんに飲んでもらった。好き嫌いの多い僕はあれこれなっちゃんに食べてもらったりもした。大体が美味しかった。

部屋へ戻るときのエレベーターの中で「ちゃんと安定剤飲んだって言えてえらかったね」と褒められた。小学生みたいな気持ちになったけど嬉しかった。「これならこのエレベーターも怖くない」と笑いながら言った。部屋に戻って「30分ぐらいしたら貸切露天風呂入ろう」と決めて少し二人でぐったりだらけた。幸せだった。なっちゃんは少し酔っていた。ほのかに香る梅酒の匂いがとても良かった。

なっちゃんは貸切露天風呂でくつろいでいるのだが、僕は長風呂がダメで、すぐに足湯になってしまった。度々入ってみるのだが5分も入っていられない。なっちゃんはアトピーがあったので温泉は好きだった。「ご飯もそうだけど、本当に人生損してるよハハハ」と言われた。静かで空が奇麗で月も美しかった。贅沢な足湯だった。違う貸切露天風呂だった。

部屋に戻ってからはアイスを買いに行ったりした、ゆっくりお茶を飲んだり話をして過ごしたあと、心から愛し合って寝た。

翌朝は早く目が覚めた、不思議な音が聞こえたのだ。窓を開けて空を見るとトビが飛んでいた、数えきれないくらい飛んでいた。日の出も奇麗で急いでビデオを撮った。なっちゃんは起きる気配はないので目が覚めたら見せてあげようと思ったからだった。

なっちゃんを起こして、朝食に向かった。なっちゃんはやはりしっかり食べている。「これが温泉旅行だから!」と得意気に笑いながら教えてくれた。僕もよく食べれた、美味しかった。

とても意味のある一泊二日だった。相手に安定剤を飲んだというのは恥ずかしい事でないのだ、相手も安心してくれるわけで。これがきっかけでなっちゃんの前で安定剤を飲むことは気にならなくなった、一歩前進した気持だった