なっちゃんとセントレアで飛行機の見える部屋 中編 (39)

なっちゃんとセントレアで飛行機の見える部屋 中編

それから、夕方が終わっていくのを感じながらイルミネーションを見る事にした。Nさんの事を話したりした。イルミネーションはそれなりに奇麗だった、人が多かったけれど問題にも心配にもならなかった。僕の中でセントレアが安全であることは間違いなかった。

次に僕が夢中になったのは、暗いセントレアの中をゆっくりと動いている飛行機だった。

それは、飛行機も気になるのだけれど、それを誘導している人が気になった。何か通信はしているのだろうか?とか、実は光だけで信号を送っているのだろうか?とか考えるのが楽しかった。とにかく気になったので、アップにして写真をたくさん撮っていた。寒い中だったがなっちゃんも付き合ってくれた。

でも、やっぱり寒すぎたので、切り上げる事にした。そう、ホテルの部屋から見えるんだから。

僕たちはちゃんとした夕食を食べる事にした。おかゆが得意そうなお店に入る事にした。胃に優しい感じがした。そうだ、僕はこの時に少し胃を痛めていた。

それから二人は、おやつを求めて歩き回った。アイスを食べる事にした、知らなかったのだけれど、ブルーシールアイスってのを初めて食べた。なっちゃんが色々と説明してくれた。それで割高な理由が分かったし、納得した。僕は、「やっぱり知らないことがいっぱいあるな」「なっちゃんが横に居てくれると安心するな」と思いながら空港の中を眺めながら、少し余韻に浸るような気持ちでアイスクリームを食べていた。いわゆるエモい感じでしょうか。知らない。

それから、「なっちゃんとセントレアで飛行機を見る」の時に買った、木の良い感じのお店に入って、その木の手入れ用品を買った。これで名刺入れも長持ちさせられると思い、心が弾んだのをよく覚えている。

夜のセントレアも、それはそれで独特の雰囲気があり好きになった。店員さんの対応もやはり空港仕様なのが感じられる。

僕は夜になるとパニック障害が怖くなる時があると書いたけれど、このセントレアは違う。「眠らないんだよな」と思ったりもしてみた。それは、東京と同じだという事は分かっている。でもそれが虚しいのが東京で、セントレアは別だと僕は思い込んでいる。誰か正解を持っているのならば、回答を内緒で教えて欲しいと思う。

前と同じように色んな売り場を回ったりしたが、今回も無印良品に入った。お茶と、やはり乾燥した割高なスープを買った。ジュースは、前回ホテルの冷蔵庫に一本置き忘れたままにしたのが悔しかったので、買わなかった。

それで、ホテルの部屋に戻ると、新しい部屋なだけあってとても良いムードがあった。光の使い方が素晴らしかったと思う。女性には絶対にうけるといった部屋になっていた。部屋にもよるだろうけれど、なっちゃんも「良い感じだね」と言って見ていた。

カーテンを開けると飛行機が見えたが、夜なのでハッキリは見えなかった。でもこの部屋から飛行機が見える。見えたもん。

二人とも、なかなかお風呂に入ろうとしなかった。夜更かしを楽しんでいる感じだった。それは話をしたり、ムードを二人で楽しんだりしていたからかも知れない。

そろそろお風呂に入ろうとなった時に、なっちゃんらしさが出た。「あれ、私の下着が無い。持ってくるの忘れたみたい」と言うのだ。パジャマは持ってきたのに、下着を上下忘れてくるのが「なっちゃん」なんだ。

「無くても良いよ、明日買えば良いんだから」と言う。「こんな冬にスッポンポンは良くないよ」と言うと「パジャマがあるもーん大丈夫」と言っていた。

お風呂に二人で入って、出てからは、なっちゃんの背中にアトピーのクリームを塗る。そして、僕がドライヤーで髪を乾かすのが、お泊りではいつもの事である。

元カノと同棲していたのもあって、僕は女性の髪をドライヤーで乾かすのが好きなんだ。

寝る前になっちゃんと愛を確かめ合うのがいつもの事だったけれど、この日は何かが違った。

二人とも少し焦った。これが意味したのは・・・実は、黄信号でなく、赤信号だった。

次へ続く

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