なっちゃんとの二年目の夏 前編 (8)

なっちゃんとの二年目の夏 前編

なっちゃんと京都に行ったのは春で、それからは遊びに行くにも旅みたいなことは出来なかった。でもゆっくりできる旅なら良いでしょという事になり温泉と海に決まった。

二人で海を見に行くことはあった。その時になっちゃんは僕が安心してると感じたと言っていた。自然は好きみたいだ、海に入ることを思い描くとワクワクした。あと旅館も20年ぶりぐらいで楽しみだった。パニック発作の不安などを感じる要素がなかった。

それでも、旅という事に少しはパニック障害の心配はあったかも知れない、だけどなっちゃんが一緒なら大体は大丈夫と思えるようになっていた。

まず旅館に着いてチェックインした、少し古い旅館だった。案内されてエレベーターに乗った。人生で一番くらい揺れて荒っぽい止まり方のエレベーターだった。部屋に着いてそこそこ広めの部屋だったので安心した。

なっちゃんは、「お茶入れてお菓子食べようよ!」とお茶を入れてくれた。「あのエレベーター、私怖かったんだけど怖くなかったの?どうだった?」と聞かれて「めちゃくちゃ怖かったけど大丈夫だったね」と笑って答えた。「まー止まってもなっちゃんが横に居てくれたら大丈夫だと思ったよ」とも。「私が怖いんだから大丈夫じゃないんじゃないかと思っちゃった」と笑いながら言っていた。

パニック障害の対策として、付き添ってもらうというのは大変有効である。安定剤より有効だと思う。その人をしっかり信じている事が大事で恋人だからというわけでなくても頼れる人に頼ればいいと思う。僕はなっちゃんをしっかり信じていると思えるようになった。

「海に行きたい!」となっちゃんが言い出したので準備をして行くことにした。景色で見ると近いのだけれど坂が急でゆっくりと歩きながら「これは明日筋肉痛だぞ」と笑った。それでも歩いて行けるところなので良かった

海に入ってなっちゃんはだいぶはしゃいでいた。久しぶりに二人とも心から解放されていたのだと思う。あっという間に時間が過ぎた。よくはしゃいだものだから帰りの坂道はとても大変だった。途中でちょっと休憩しながら旅館に戻った。

部屋に戻るとなっちゃんはだらけるかと思ったら、水着を洗っていた。僕の分も洗ってくれた。「たまにはちゃんとしてるね」と笑いながら言った。だって「夕飯が楽しみだからさ、何かやってないとずーっと夕飯食べたいって言っちゃいそうだから」とやはり面白い本音が返ってきた。その後からはやはり「夕飯まだかなー私もういつでも食べれるのになー」と言い出した。そしてカバンから持参のお菓子を取り出して「ちょっとだけ食べようか?」と可愛く言った。

後編に続く