乗るのが怖いからの脱却 後編
夕飯は祇園の近くで食べようって、京都へ行く前から話していたお店があったので探してみたのだけれど、なかなか見つからかなった。
人生を変える書店てのに2人でなんとなく入ったら面白くて、相手が「私このコーナーだけで満足できる」と笑って言っていた。
僕は「あれなら僕も店は本屋も良いなって心が動いた」って笑って言った。
お店を見つけたのだけれど、2人ともピンと来なかったので「他だね」と次を探したら、そして出会ったお店が大正解でした、野菜をたっぷりと堪能しました。
そして京都駅に帰る事になりバス待ちをしていたら、行き先が逆で乗り場を探して見つけた。
皆が京都駅へ向かうようだった、嘘だろってぐらいのパンパンなバスだった。「無理しなくて良いから」って行ってくれて「ありがとう、一緒に居てくれたら気持ちにゆとりがでて大丈夫なんだ」って素直にうなずきながら言った
パニック障害でバスや電車、車で困っている人は同乗してくれる人を見つけてお願いすると良い。僕は1人の時は、勝手に知らないあの人が知ってる人だという事にして過ごした事がある。それも手だ。
京都駅に着いて、ホテルのチェックインを済ませた。「1番奥の部屋です」と案内された部屋は本当に1番奥で、疲れた足にとって本当に遠かった。部屋から京都タワーが見えるのがちょっと良かった。
お風呂に入って、翌日の朝ごはんを何階のお店で食べるかと、どこに行くかを話してから寝た。
ちなみにこの日は3万5千歩も歩いていた
朝になって、予定より早く目が覚め、支度をして朝食を食べに向かった。
和食を食べた、とても美味しかった。
部屋に戻る前にチェックアウトの手続きをしておいた、前日混んでいるのを見ていたので時間が勿体ないと思ったから
部屋に戻る時に、昨日と別の方角からのエレベーターでフロアに行ってみるとちゃんとたどり着いた。相手が方向音痴でなくて本当に助かるなと思った。
ホテルに荷物を預けて出発した、いざ清水寺へ
バスはそこそこ混んでいたが、もうやっぱり何の心配もなかった。清水坂で降りた
2日目は2人とも足に違和感を感じながら歩いていた。京都に行く前から王道じゃない道を歩こうなんて話していたのでやっぱり何かが違った。人が少なくて何だか良かった
清水寺もまた工事中だった。一体どうなっているんだと思ったけど、笑えてきた。
この日は月曜日で、全然混んでいなかった
ずらし旅は良いものだ
帰りは王道の道を通って、僕が行きたかった和菓子屋さんに入ってみたらし団子とぜんざいを食べた
美味しかった。
それから、高台寺へ向かった。
それと圓徳院にも行った。
そこで何と雨が降り出した。晴れ時々曇りの降水確率10%でも雨は降るらしい。2人とも行きたいと言っていた純喫茶が近くにある事がわかったので走ったのだが、臨時休業だった。思わず「工事やら天気やら臨時休業ってどうなってんだよ」と言ってしまった。
僕は楽しかったのだけれど、相手の機嫌が少し悪くなっていたのでそれが嫌だった。雨が嫌いなのだろう
ちょっと不思議なカフェに入った。本当に不思議な空間だった。
それから祇園まで歩いてお茶漬け屋さんに入った。面白い事に2人とも一杯目をお茶漬けでなく、白米と漬物で食べていた事である。味噌汁も赤だしの濃いめで良かった二杯目からお茶漬けにしてみた。
それからバスに乗って平安神宮へ向かった、道途中で何度か見た光景を、2人で少し笑った。
平安神宮はとても良い庭だった。
幸せな気持ちになった。
おみくじを引いたら、相手が人生初の「凶」を引いてしまった。見事なぐらい良い事が書かれていなかったので慰めようが無かった。ビビったのだろう「私もお守り買って」と言ってきたのでお守りを買った。
僕は吉だった、納得のいくものだった。
日が傾いてきた。夕方の前だという感じになってきた。祇園に戻りお土産を見て周った。クーポンがあるのでそれを使ったり。
もう十分て事になり、京都駅にバスで向かった。帰宅ラッシュと重なったようで、身動きが困難なパンパンさに相手は「大丈夫?」と聞いてきそうだったので「こんな混んでるのに乗ってる自分を想像してなかったから笑える」と伝えると、目がうなずいていた。
実はここからがこの旅の一番の峠だった、京都駅は混んでいた。
デパートにしばらく行ってなかったので、ちょっと見たいと言ったのだけれど、やっぱり人の多い所は苦手だという事に気がついた。途中で「もうそろろう足休めたい」というと、相手は不思議そうだったけど「中と外はどっちが良い?」と聞いてくれたので「外が良い」と伝えるとグングンと進んで行ってくれた。すごい感覚なんだなってビックリしたのと、これだけ的確だと安心できるなと思ったりした。
抹茶ラテを飲んだ。相手は「これからが楽しみなの」と少し分からない事を言っていた。
僕の名前を呼び捨てにしながら「デパ地下って行ったこと無いんだよね?」と笑顔で聞いてきた。「無いよ、何があるの?」と聞いてみると「帰り道の1番の楽しみなんだから、混んでるけど行くよ!」と歩速が上がっていった。
デパ地下へ到着した。「あーこれはもしかしたら安定剤飲む必要がある場所か?」と自分に問いかけたところ「どうせなら行けるところまでいってみろ、もう帰りの新幹線に乗るだけだ」と自分らしくない回答があった。
あれこれと解説をしてくれて、楽しくもなってきたが、ぐわんぐわんに身体が揺れていた。予期不安が僕に聞いてきた「出口はどこ?」と
「分からない、でも相手に外にすぐ出たいって言えば出れるはずだ、それよりも食べたい物を早く探せばどうなんだ?」と強めな心の回答があった。
自分が自分じゃないみたいだった、「全部が美味そうに見える!!」って笑いながら自分が言っていた。2人とも夕飯を買って、相手はちょっとお土産も買いたいと選んでいた時に「ごめんね、もう疲れたでしょ」と言った。
この旅では、新幹線も乗れて、混んだバスも地下鉄も大丈夫で、デパ地下も大丈夫な証明が取れた。
それから、ホテルに荷物を取りに行ってロビーで安定剤を飲んだ。
帰りの新幹線に乗る前に、少し考えそうになった。「パニック障害」を
「いやいや、もうそれは考えなくて良いって結論」が返ってきた。
帰りの新幹線に乗って、一駅目の停車駅で「あ、これはパニック障害の発作が」と思いそうになったが「待て、誤作動だ、今から帰るのだ、さっきのデパ地下の人混みと今はどっちが楽だ?」と。
ここで心臓の動きは落ち着いた。自分の心の勝利宣言を聞いた。
もう怖くない、パニック障害は乗り越えたと思った。僕は夜が怖いとも思っていたのに、今は新幹線から見える夜景が美しく感じていると思うと心の幸せが溢れていた。
新幹線を降りて相手に「2日間本当にありがとう」って言った。
自宅に着いて、お湯に浸かっていると「何を怖がっていたんだろう」と頭にふと疑問が浮かんで「勝手に怖いって決めて怖がって考えてるから怖いんだ」て思った。
強くなった自分が嬉しくて嬉しくて、幸せは掴む物だと思った。