なっちゃんとイルミネーション (26)

なっちゃんとイルミネーション

冬になって、なっちゃんとイルミネーションを見に行こうと言ってみた、しかし前回の不協和音があったので、あまり良い返事ではなかった。でも日程を決めて行くことに決まった。

以前に行った遊園地みたいなところだ、僕は大丈夫だと思っても、なっちゃんは大丈夫だと思っていない。(むしろ不安に感じていると思った)

僕は日が短いのが嫌いだ、書いたと思うが、再び書いておくと夜が嫌いである。夜にパニック障害の発作が出る事が多かった、日が出ている方が気が楽なのである。何か一人の感じが日中は大丈夫で好きなのだが、夜に一人だと怖いと感じていた、だから夜に出歩く事が少ないのだと思う。でも今回は夜にあえて出歩くのである、なっちゃんと一緒なら大丈夫だと思った、多少の人混みもたぶん大丈夫だと思っていた。

だけど、イルミネーションの何が良いのか知らないまま、行こうと言ったのである。いやそれは言い過ぎた、昔の話だけれど「なばなの里イルミネーション」に女の子と行った事があった、でも混んでいてガヤガヤし過ぎていたので、良いとは思わなかった。その子も「これじゃあムードが無いよね」と言っていた。とにかく良いイメージが無かった。なばなの里に行こうとしたのではなく「ジャズドリーム長島」に行ったついでに寄っただけだ。

でも、遊園地みたいなところは好きだから、行きたいと思った。とにかく自分が好きだと思っている事には、パニック障害の発作は出ないと覚えたので大丈夫だと思えた。

前置きが長かったが、当日出発した。二人のお気に入りの珈琲店に向かった、なっちゃんはこのお店のクラシックの選曲が最高だと頭を振っていた(ヘッドバンギングではない)、このお店に来ると二人ともニコニコしていられるのが素敵だと思う。コーヒーとデザートを食べた、やはり堂々とした味である。

それから、遊園地みたいなところへ向かった。まだ明るかった、なっちゃんが「謎解きゲーム」みたなのをやろうと言ってきたが、「嫌だ」と3回ぐらい拒んだけれど「逃げても大丈夫だから」と言ったのでやってみることにした。そうしたら、めちゃくちゃ楽しかったのではしゃいだ。なっちゃんは「これをこんなに楽しそうにするなんて、幸せだね」と言っていた。「もう一回やりたい」と言ったが「二回やるものではないから」と言われてしまった。

たぶん小学5年生ぐらいに見えたのだと思う、でも僕はなっちゃんと二人で「謎解きゲームみたいなの」がとても楽しかったのが素直な気持ちだった。大きな声で「愛してる」と言わされる場面もあったりして、デートには良い所だなと思った。

日が沈みだし灯がともり始めた、イルミネーションも一部が光りだした。なかなか美しいと思ったりした、もっと暗くなったら5倍ぐらい美しくイルミネーションが動くように輝いたり、とにかく僕が見たことが無い光り方をしていて「美しいな、夜も良いな」と思わせてくれた。遊園地みたいなところのおかげで苦手な気持ちは消えた。

前回と違いキスが出来るほどの人の少なさではなかった、けっこう多かった。でも5回ぐらいは人目を気にしながら隠れてキスをした。なっちゃんは恥ずかしそうにしていたが嬉しそうでもあった、照れていたのだと思う。

夕食を食べようという事になり、食べるところへ向かった。タイミング良く待たないで入れた(僕たちの10分後ぐらいの人たちは待っていた)ピザとパスタを注文した。人がどんどん増えていったのでなっちゃんに「安定剤、飲んでおく」と言って薬を飲んでおいた。なっちゃんに「恥ずかしい事じゃないからね」と言われた。ピザとパスタはそれなりだった、なっちゃんも自分の薬を飲んだ。

お店を出て、これから少しすると花火が上がるという事で、少しワクワクドキドキした。少し場内を歩いて、そんなに撮らなくても良いというぐらい写真を撮った、みんなが花火を正面で見られる所へ向かいだしたので僕たちも向かった。みんなが集まるとやっぱりそれなりに人混みになっていたが、もう安定剤を飲んでいたのでパニック障害の発作の心配はなかった。花火はとっても奇麗だった。

園外にもちょっとしたイルミネーションがあったので写真を撮ってもらった、僕は浮かれていたのである。帰りは途中からなっちゃんは寝ていた。いつもの事だけどかわいいなと思いながらなっちゃんの実家に送って行った。

この日は喧嘩もなく、なっちゃんもニコニコしていたので良い日だった。パニック障害の対策としても事前に予期した場合に安定剤を飲むことで大丈夫と成功体験にすることが大切だと思った。