中学生のころ その3

実は、二人のレッスンはテスト以外にもあったんだ。

合唱コンクールってやつで、ピアノ弾くのがその子で自分は指揮者

音楽教科なんて大嫌いなのに担任が勝手に決めてしまった

立候補者がいたのに退けた。。。 さて授業後に音楽室で二人のレッスンです

その子には、「あてにならない指揮を見る格好だけして好きに弾いてね」って頼んだね

「それよりもずっと目を見てないと落ち着かないから可能な限り目を合わして欲しい」とも頼んだ

かなり良いリラックス効果がある!!

実はこれって会社とか日常でも使える「心を落ち着かせる方法」に思います。認知行動療法を知らない15歳の時から自分でやっていたのである。

察してくれる人に思いっきり素直に助けてもらうってのはとても有効だと思うんです。恥ずかしいとかでなく、みんな助けてくれますから大丈夫ですよ。

コンクールの前々日に発熱があり学校を休んだ。担任の先生から親に交代の指揮者はいますので安心して下さいと連絡があった。僕が大嫌いな立候補した奴に絶対に譲らないと決めていた。

翌日も熱はあったが登校した。最終練習しなくちゃいけないから。

ここで合唱のメンバーの女の子にも「目が合ったら逸らすまでは見つめていて欲しい」とお願いをした。ヤンキーの男子にもお願いをした「もし目が合ったらガン飛ばしてるから絶対目を逸らすなよコラ!頼むんでよろしく」と言ったら「分かった、そう言うなら聞いてやるわ」とほぼ味方にできたわけで怖さとか緊張はそんなになかった。

ピアノの女の子に「代わりの指揮者の方が弾きやすい?」などと湿気た質問をしたら「そんなことないよ、ずっと練習してきたんだから!」と言ってくれた。「大丈夫?」などと言うことはなく「明日楽しみだね、緊張しないでしっかり頼むよ!」と言ってくれた。付け加えて「熱があったとしても、ここまできて譲れないでしょ?」とも。

今思えばこの子は、察してくれていたに間違いない。ノートを貸してくれていたし、大丈夫?とも言わなかった。僕が好きであることも気付いていたはずだ。

1000人の前で指揮なんてなかなかできる機会は少ないので良い事であったし自信にもつながった。ただ一人だけ後ろ向いているからそんなに緊張しなかった。いや、みんなと目が合ったのだけど誰も目を逸らさなかった。お願いしたメンバーが全員にそう指示を回していたのかもしれないと振り返ると思うようになった。

ピアノが上手かったのだろう、賞をもらった。

音楽の成績は上がらなかったので担任はうなだれた。 自分では上がらないとは思っていたが、担任がやはり内心点狙いでの指揮者指名だった事にありがたく思った。

1000人の前での発表はそれで慣れまして、3年生になると某委員会の委員長で全校生徒の前での発表とか緊張しなかった。非常に良い体験だった

さてさて苦悩が始まる。いくら勉強をしてもテスト順位がジリジリと下がる。

勉強の仕方の見直しをしてテスト週間の1週間前から開始を2週間前から開始にしてもダメだった。

何がいけないかと思うと集中力の濃さがぬるい、時間も継続しない。 完全に安定剤の作用によるものだった。 これはプライドが許さなかったので精神科医に相談するも、「安定剤飲んでる同レベルと、安定剤飲んでない同レベルでどっちが勝つのかなんて結果は最初から分かってる」と厳しい気休めだった 。

「受験当日に転ばなければ大丈夫。今転んでおけば当日は転ばない方法を思いつくからそっちを考えよう」といかにも精神科医らしいヒントがあった。

しかし苦しかった。勉強が好きなのに思い通りいかないのだから。 いよいよ切羽詰った自分は両親に「離婚してくれ、それで高校推薦もらう」と言い出した。

親も困っていた真面目に離婚してくれって言う子供もそういないでしょうからね。

でも、早く楽になりたいから離婚してくれと毎日頼んだ。 10日間言い続けたが精神科医に止められた。「フェアに戦わないとずっと逃げるようになる」と。そこからは現状維持に必死になって何とか70番台で、もがいた。

某委員会は担当の先生が美術だった。最初から狙ったわけではなかったが内申点を採るためにもやっていた。美術は一学期が3、二学期が4、さて三学期はとなると相対評価制のため普通は良くて4なのだ。悪くて3

その時の担任には美術は5が入ると言ったことがあったが「寝言は言うな」と言われた。美術の先生には一度だけ「内申が足りないと当日勝負になっちゃうんだ。委員会が関係ないのは分かってるけど、非常識な内申が可能だったら一番いいやつがどうしても欲しい」と言った事があった。渋い表情をして無言で首を縦に振ってくれた。

結果的に美術の内申点は三学期は5だった。

担任の先生との三者面談で「こういった通知表は、教師をしてきて見た事がないんですけどよくやりました」と首を横に振りながら「お前の言った通りだ、どんな手を使った?お前の美術が5でないことは私でも分かるが不思議だ」と親の前で言った

親は悪い事をしたのかと思ったようで困惑していた。ハッキリと「僕の美術はあの先生には5にしか感じられなかっただけです。平等に評価されなければならないので」と言い返したら「ご苦労様でした」と笑っていた。

この5で当日の入試は気持ちに余裕ができるとその場で思ったのを覚えている。それともう一つ、見事な取引を一度だけ出来たというのが面接への余裕にもなった。

試験当日も安定剤飲んで挑みましたが、終わった瞬間に「これは受かった」という感触があった。 しかしまだ面接がある。すでに自信があったので、極上の面接してやる!って思ってた。 結果は無事に合格。 常に心を落ち着けるには好きな音楽を聴いた。 もうこれは耳からの安定剤だった。

大好きなレーシングカートに乗る事も気分転換になった。